浚渫・埋立
浚渫(しゅんせつ)とは海底を掘削することをいいます。港湾においてその目的は、主に航路・
泊地の延長・拡幅・増深および維持・保全であり、当社は自社船舶である「響永(きょうえい)と海響(かいきょう)」を使用して浚渫を実施しています。
浚渫により発生した良質な土砂は、土砂処分場と呼ばれる海面処分場に運搬され、埋立土砂として利用されています。国土面積の狭い日本においては従来より、埋立による臨海部の拡張が行われてまいりました。
関門海峡を中心とした地域には土砂処分場として、『響灘海面土砂処分用地』『下関沖合人工島』『新門司沖土砂処分場(北九州空港島)』『苅田沖土砂処分場』『苅田港新松山地区土砂処分場』があります。
関門航路の浚渫、下関沖合人工島の埋立
関門航路は関門海峡内の航路であり多くの船舶が往来します。近年は国際的に船舶の大型化が進んでおり、それに対応するために増深・拡幅を実施しています。また、潮流が速いことや浅瀬の存在もあり非常に危険な航路でもあります。浚渫をしないと埋没してしまうことから、常に埋没対策として浚渫を行っております。浚渫された土砂は大変良質なものであるため、下関沖合人工島の埋立に利用されています。
北九州港新門司地区航路の浚渫、新北九州空港島の埋立
北九州の新門司地区は従来より西日本では神戸港に次ぐフェリーターミナルとして利用されてきました。また、背後に九州自動車道の新門司インターチェンジがあることから、利便性が高く物流団地として整備されています。近年ではトヨタ輸送新門司物流センターが竣工され、主にトヨタ自動車九州で生産された完成車の国内向け積み出し港となっています。このように港湾機能の拡充が求められており航路の延長・拡幅・増深等の浚渫工事が行われています。
新門司航路で浚渫した土砂は良質な土砂なため、新北九州空港島内にある新門司沖土砂処分場に運搬され、空港島の埋立に利用されています。
苅田港本航路の浚渫、苅田港新松山地区の埋立
苅田港は九州電力㈱苅田発電所による石炭等燃料の輸入が多く、これをはじめセメント関連企業が数多く立地していました。その後、日産自動車をはじめ自動車関連企業の操業が相次ぎ、近年では新松山地区にはトヨタ自動車九州㈱のエンジン工場が創業しました。これらにより苅田港は福岡県営の最大の港として、国土交通省および福岡県により整備が行われています。また東九州自動車道の苅田インターチェンジや、苅田港の新松山地区には北九州空港への連絡橋があり、まさに陸・海・空の結節点として機能しています。これらにより更に港湾機能の拡充が求められており、苅田港本港航路の増深と拡幅が進められています。
浚渫した土砂は新松山地区土砂処分場の埋立に利用され、今後も自動車産業・物流関係の企業の進出が見込まれています。
洞海湾の浚渫、響灘海面処分用地の埋立
洞海湾の奥洞海地区は北九州市の産業を支える重要な地区であり、奥洞海航路はその周辺企業へ製品や原材料を海上輸送するための重要な航路です。しかしながら周辺河川からの土砂の流入により航路の埋没が進み、規定水深を満たしていない箇所があることから、航行船舶の安全性や利便性の向上を図るため、浚渫事業を行うものです。また船舶の大型化に対応するため、あわせて航路の拡幅浚渫も行っています。
浚渫した土砂は響灘海面処分用地の埋立に利用されます。